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mystery「木曜殺人クラブ」

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Netflixの新作として先月、配信された「木曜殺人クラブ」。
キャストが豪華でストーリーも面白かったので、原作を読んでみた。

イギリスの、高齢者用の高級施設(日本で言うならサ高住?)が舞台。
65歳以上の、そこそこ以上裕福な人々が楽しく老後を過ごす住宅地だ。
いろいろな趣味の会がある中、
未解決事件を推理するグループ「木曜殺人クラブ」がある。

ある日、施設の共同経営者の一人が殺害される。
クラブのメンバーは、地元警察の刑事たちを巧みに巻き込み、
独自の捜査で事件を解決しようとするが・・・。

著者リチャード・オスマンは、
イギリスBBCのバラエティー番組のプレゼンターでありコメディアン。
本書が小説家としてのデビュー作だというが、
なんて面白いモノを書くのだろう。
私の好きな作家のひとりアンソニー・ホロヴィッツの新刊
「マーブル館殺人事件」の中でも、実名で
「リチャード・オスマンの『木曜殺人クラブ』が〜」というくだりがある。
相当売れた、という例えで・・・。

本書を読むきっかけとなったNetflixの作品で、
そのメンバーを演じる俳優たちがすごい!
「RED/レッド」のヘレン・ミレン、「ガンジー」のベン・キングズレー、
「007」のピアース・ブロスナン、ドラマ「ルシファー」のトム・エリス、
ほかにも「見たことがある」俳優たちがいっぱい。
ミステリーだけどコメディ要素も満載なので、
とぼけた芝居もうまい名優ぞろいは、小気味よい。
特に、「007」“ジェームズ・ボンド”だったピアース・ブロスナンが、
水着のおばあちゃんたちと水中エクササイズをしている場面は傑作。

Netflixを見た後で原作を読むと、
彼らが本の中に生き活きと登場してくるのが楽しい。
シリーズとして続編もあるようなので、文庫化されるのを待ちたい。

それにしても、未解決の殺人事件を推理する毎日なんて、すてき。
こんな老後を過ごしたい。

「木曜殺人クラブ」
リチャード・オスマン著、羽田詩津子訳、ハヤカワ文庫刊


# by kikimimi_asabuya | 2025-09-26 21:53 | Books 本 | Comments(0)

mystery「法廷占拠 爆弾2」

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山田裕貴主演で映画化されると知ってすぐに読んだ「爆弾」。
それがあまりにも面白くて、
続編が文庫化されるのが待てずに単行本で購入したのが本書。

前作で逮捕された爆弾魔スズキタゴサクの裁判中に
法廷内で立てこもり事件が発生。
ろう城犯の要求は「ただちに死刑囚の死刑を執行すること」。
前作で交渉人としてスズキタゴサクと対峙した類家刑事は今回も
ろう城犯と交渉する高東刑事のサブに付くが、
「何かがおかしい」と思い始める。

SNSを巧みに利用するろう城犯と
犯人に暴力を受けても相変わらずヘラヘラと軽口をたたくスズキタゴサク。
そして、法廷内に囚われた100人の人質は、事件関係者を含む傍聴人。
その中には、前作で関わった二人の警察官もいる。

後半はもう、一気読み。
読まずにいられない臨場感と緊迫感に、ページを繰る手が止まらない。
このスズキタゴサクには本当に腹が立つ。
ヘラヘラと、淡々と、雄弁。
自身のことを卑下しながら、知識も表現力もあり、教養も感じさせる。
気持ち悪くて変態でゲスで、ムカっ腹は立つけれど、
強烈な印象だ。

どうやらまだスズキタゴサクと類家たちの物語が続きそうなラスト。
続々編が出るまで、
この「呉勝浩」という作家の他の作品も読んでみたくなった。

ちなみに、先日の業務試写で見せていただいた「爆弾」は
原作同様に、めっちゃ面白かった。
そして、スズキタゴサクはやはり、人にドス黒い感情を抱かせる天才だ。

「法廷占拠 爆弾2」呉勝浩著、講談社刊



# by kikimimi_asabuya | 2025-09-26 20:38 | Books 本 | Comments(0)

cinema「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」

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本作もまたマンガが原作なので、公開を前にNetflixで予習。
だって「レゼ篇」というからには、
それ以前にナントカ篇があると思うじゃないですか。

タイトルからして、チェンソーが出てくることも
おそらくそれでなにがしかの殺害(殺りく)があることもわかる。
ただ、ホラーやゾンビ映画が嫌いじゃない私でも、
予習段階でもう「血まみれ」な感じで、ぐったりした。
本作のコピー「血戦の幕が、ついに上がる」、そのまま。

TVアニメの最終回からつながっているという本作。
妖しくて残虐な少女レゼは、ファンにも人気らしい。
なるほど、ラストでちょっと切なくなるから、かな。

主題歌は、TVアニメに続いて、米津玄師。
今回は宇多田ヒカルとのコラボで、作品にも合っていて、かっこ良かった。

監督:𠮷原達矢
脚本:瀬古浩司
原作:藤本タツキ「少年ジャンプ+」連載
出演(声):戸谷菊之介、楠木ともり、花江夏樹、津田健次郎、上田麗奈ほか
公開:9月19日

“チェンソーの悪魔”ポチタの心臓を与えられ、チェンソーマンとなった少年デンジ(戸谷)は、デビルハンターとして公安対魔特異4課に所属している。憧れの上司マキマ(楠木)とのデートで浮かれた後、急な雨に見舞われて雨宿りしていると、レゼ(上田)という少女と出会う。近所のカフェで働いているというレゼとデンジは急速に親密になるが、彼女との出会いを機にデンジの日常は変わり始めていく。



# by kikimimi_asabuya | 2025-09-21 15:32 | Movies 映画 | Comments(0)

誕生日の誓い

おかげさまで先週、誕生日を迎えた。
ついに○○歳だ。

人生後半戦、さて、何をしていこうか。
学びたいこともあるし、
やめたいこともあるし。

全く新しいことはムズカシイので、
これまでを取捨選択し、
「復習」と「向上」の後半戦にできるといいな。

関係各位、今後もよろしくお願いいたします。


# by kikimimi_asabuya | 2025-09-21 11:04 | Others 他 | Comments(0)

cinema「ひゃくえむ。」

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陸上の100m走、走ることに懸けた少年たちの物語。
原作は「手塚治虫文化賞マンガ大賞最年少受賞ほか、数々の賞を席巻」する漫画家「魚豊」(うおと、と読むらしい)の連載デビュー作。

私が子どもの頃(大昔のことだけれど)、
クラスに足の速い子がいると、運動会のヒーローだった。
面白いことを言ってみんなを笑わせる子や
絵のうまい子、歌のうまい子など、
「何かができる・うまい」子は、勉強ができる子より人気者だった。
今はなかなか、突出するのはムズカシイようだけれど・・・。

本作の“足の速い男の子”トガシもやはり人気者。
同級生からゲームや遊びにも誘われるが、ある日彼は、
ただがむしゃらに走る転校生の男の子に走り方を教えるようになる。
走ることを通して、友情やライバル心を育む二人。
生まれつきの才能を持つ者と、努力でそれを勝ち取ろうとする者は、
それぞれの苦悩を抱えて大人になっていく。
そして再会・・・。

セリフが哲学的だ。
私の大好きな「宇宙兄弟」のセリフも
名言だらけで心にずしんと響くけれど、
本作でも、小学生のくせに「○○とは、△△だ」的なことを
低い声で、重く言う、ランドセルをそばに置いて。
(江戸川コナンか)

大会での、雨の中の練習シーンが印象的。
選手たちが、スタートしてちょっと走ってまた戻る、という場面だが、
実写でカメラが回っているかのように、なめらかな長回し。
この場面には約1年かけたというから、すごい。
本当に、生身の選手たちが雨の中で練習しているかのようであり、
本番を前に緊張している雰囲気が、彼らの体の動きに出ている。
最後のキャストロールを見ると
各選手のモデルとなった選手がいるようなので
(私でも知っている陸上選手の名前があった)、
モーションキャプチャーのような、
実際の動きを取り入れる描き方なのかもしれない。

“髭ダン”Official髭男dismの主題歌も良かった。

監督:岩井澤健治
脚本:むとうやすゆき
原作:魚豊「ひゃくえむ。」(講談社)
出演(声):松坂桃李、染谷将太、内山昂輝、笠間淳、津田健次郎ほか
公開:9月19日

生まれつき足が速く、友達も居場所も手に入れてきたトガシ(松坂)と、辛い現実を忘れるためにがむしゃらに走る転校生の小宮(染谷)。トガシは小宮に速く走る方法を教えるため、放課後2人で練習を重ねる。「たいていのことは、100mを誰よりも速く走れば全部解決できる」というトガシに触発され、ひたすら記録を追う小宮。だが、ある日突然、小宮はトガシの前から姿を消す。数年後、天才スプリンターとして勝ち続けなければいけない恐怖におびえるトガシの前に、トップスプリンターの一人となった小宮が現れる。


# by kikimimi_asabuya | 2025-09-21 09:09 | Movies 映画 | Comments(0)

札幌在住ライターの映画と本と綴りごと


by kikimimi_asabuya