人気ブログランキング | 話題のタグを見る

cinema「俺ではない炎上」

cinema「俺ではない炎上」_e0343244_20415492.jpg

時代に合わせ、Instagramを始めようかと思っていた矢先に、この作品。
「俺じゃない!」のに「俺だ」ということで炎上しているのは明らかだ。
SNSをしている誰もがこれを見れば、「明日は我が身」と思ったはず。

本作で、“アベちゃん”阿部寛が演じるサラリーマン山縣は、
若者の言葉遣いや態度にひと言言わずにはいられないタイプ。
本人は「家族も仕事も仲間も大切にしてきて、周囲からの信頼も厚い」
と思ってきただけに、
実はそうではなかったという事実を知った時の落ち込みようが、せつない。
あの年齢で思い知らされるのは酷だな〜と、ご同情申し上げます。

原作は「六人の嘘つきな大学生」の著者による新作。
映画化された「六人の〜」は、とても面白かったが、
本作もラストの展開など、なかなかに秀逸だ。

特に印象的だったシーンが2カ所。

一つは、“謎の大学生”芦田愛菜ちゃんがある男性に怒声を浴びせる場面。
荒々しい言葉で怒鳴る愛菜ちゃんには、ちょっと驚く。
「あんなふうに感情をあらわにすることはこれまであまりなかった」と、
ご本人も語っている。
もう一つは、“アベちゃん”阿部寛が
パンイチ(パンツ一丁)で高い崖から降りる場面。
濃い顔立ちでかつ肉体美の彼が、彫刻のような半裸で降りてくるのが、
逃亡している緊迫感にあっても、なかなかに滑稽で、笑える。
ご本人は当初、断ろうと思っていたらしいが
当日になって「ま、いいか」と。
それが、愛菜ちゃんいわく「何度見ても笑える」シーンになった。

今の時代、こんなことがどこで誰に起きても、おかしくない。
“身に覚えのない”ことで日本中から追いかけ回されるなんて、
考えただけでゾッとする・・・。

監督:山田篤宏
脚本:林民夫
原作:浅倉秋成「俺ではない炎上」双葉文庫※「六人の嘘つきな大学生」
出演:阿部寛、芦田愛菜、藤原大祐、長尾謙杜、夏川結衣ほか
公開:9月26日

大手ハウスメーカーに勤務する山縣泰介(阿部)は、ある日突然、殺人犯に仕立て上げられる。彼のものと思われるSNSアカウントから女子大生の遺体映像が拡散されたのだ。全く身に覚えのない事態に山縣は無実を訴えるが、ネットは瞬く間に炎上。匿名の群集たちが個人情報を特定し、彼と家族は日本中から追い回されることになる。山縣を追う謎の大学生サクラ(芦田)や大学生インフルエンサー初羽馬(藤原)、山縣の取引先企業の若手社員・青江(長尾)などが絡むなか、山縣は無実を証明し、真犯人を見つけることができるのか・・・。


by kikimimi_asabuya | 2025-09-28 20:55 | Movies 映画 | Comments(0)

札幌在住ライターの映画と本と綴りごと


by kikimimi_asabuya