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cinema「ひゃくえむ。」

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陸上の100m走、走ることに懸けた少年たちの物語。
原作は「手塚治虫文化賞マンガ大賞最年少受賞ほか、数々の賞を席巻」する漫画家「魚豊」(うおと、と読むらしい)の連載デビュー作。

私が子どもの頃(大昔のことだけれど)、
クラスに足の速い子がいると、運動会のヒーローだった。
面白いことを言ってみんなを笑わせる子や
絵のうまい子、歌のうまい子など、
「何かができる・うまい」子は、勉強ができる子より人気者だった。
今はなかなか、突出するのはムズカシイようだけれど・・・。

本作の“足の速い男の子”トガシもやはり人気者。
同級生からゲームや遊びにも誘われるが、ある日彼は、
ただがむしゃらに走る転校生の男の子に走り方を教えるようになる。
走ることを通して、友情やライバル心を育む二人。
生まれつきの才能を持つ者と、努力でそれを勝ち取ろうとする者は、
それぞれの苦悩を抱えて大人になっていく。
そして再会・・・。

セリフが哲学的だ。
私の大好きな「宇宙兄弟」のセリフも
名言だらけで心にずしんと響くけれど、
本作でも、小学生のくせに「○○とは、△△だ」的なことを
低い声で、重く言う、ランドセルをそばに置いて。
(江戸川コナンか)

大会での、雨の中の練習シーンが印象的。
選手たちが、スタートしてちょっと走ってまた戻る、という場面だが、
実写でカメラが回っているかのように、なめらかな長回し。
この場面には約1年かけたというから、すごい。
本当に、生身の選手たちが雨の中で練習しているかのようであり、
本番を前に緊張している雰囲気が、彼らの体の動きに出ている。
最後のキャストロールを見ると
各選手のモデルとなった選手がいるようなので
(私でも知っている陸上選手の名前があった)、
モーションキャプチャーのような、
実際の動きを取り入れる描き方なのかもしれない。

“髭ダン”Official髭男dismの主題歌も良かった。

監督:岩井澤健治
脚本:むとうやすゆき
原作:魚豊「ひゃくえむ。」(講談社)
出演(声):松坂桃李、染谷将太、内山昂輝、笠間淳、津田健次郎ほか
公開:9月19日

生まれつき足が速く、友達も居場所も手に入れてきたトガシ(松坂)と、辛い現実を忘れるためにがむしゃらに走る転校生の小宮(染谷)。トガシは小宮に速く走る方法を教えるため、放課後2人で練習を重ねる。「たいていのことは、100mを誰よりも速く走れば全部解決できる」というトガシに触発され、ひたすら記録を追う小宮。だが、ある日突然、小宮はトガシの前から姿を消す。数年後、天才スプリンターとして勝ち続けなければいけない恐怖におびえるトガシの前に、トップスプリンターの一人となった小宮が現れる。


by kikimimi_asabuya | 2025-09-21 09:09 | Movies 映画 | Comments(0)

札幌在住ライターの映画と本と綴りごと


by kikimimi_asabuya