本「ミスト 短編傑作集」を読んだ
2019年 02月 03日
キングの短編集。「キング入門者に最適、キングファン必携の一冊」とのコピーだから、結局、誰が読んでも面白いということですね(笑)。巻末の解説によると、キングの第2短編集「Skeleton Crew」(1985年)から中短編5編を選んだもので、作品選定についてはキング側のチェックも受けているという。キングを読みあさっている私にも新鮮な短編が4本「ほら、虎がいる」「ジョウント」「ノーナ」「カインの末裔」と、メインとなる中編「霧」。本書のタイトルにもなっている「霧」を読んでいるうちに思い出した。私はこれを映画で見ている!と。キングの映画化は結構、「あれれ」的なものもあるのだけど、映画「ミスト」(2008年)は割と面白かった記憶がある。原作はやっぱり、不気味。映画のラストはちょっと「え〜っ!?」という終わりでもあったけれど、原作のそれは、「え? ど、どうなるの!?」のまま終わる。闇もコワイが、不透明な霧もコワイ。エンディングも霧の中ということね。
「ほら、虎がいる」
キングが「キャリー」でデビューする前の、最初期の作品の一つ。授業中にトイレに行きたくなった主人公の男の子に、同級生も先生も意地の悪い対処をする。これがホラー!?と読み進めると・・・。
「ジョウント」
SFっぽいサスペンス。元はある雑誌向けに書かれたものの、「科学的な裏付けが薄弱」でボツになり、その後別な雑誌から発表された作品だそう(キングでもボツになるのね)。ジョウントという移動方法で火星に行くのが日常的な時代、ある家族が火星への旅で・・・。
「ノーナ」
殺人を犯した男が、その経緯を書きつづる回想録。もしかして・・・と想像がつく最後だったが、それでもやはり、その描写にぞぞぞッ!
「カインの末裔」
1968年に掲載された犯罪小説だが、犯人の冷静さが怖かった。これに通じる長編をリチャード・バックマン名義で発表したキングは、それが社会に与えたかもしれない影響を考え、自身の意向で絶版にしたという。
「霧」
濃霧が街を襲い、スーパーマーケットに避難した人たちに広がる不安と不穏な空気、そして霧の中で起きていることとは・・・。
「ミスト 短編傑作選」スティーヴン・キング著(文春文庫)
by kikimimi_asabuya
| 2019-02-03 22:28
| Book 本
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