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映画『TAP THE LAST SHOW』

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 まずは、40年来の夢をかなえた水谷豊に、おめでとうを。23歳のときにブロードウェイで見たタップダンスのショーが忘れられず、エンターテインメントの映画を作りたかったのだという。「どんなダンスのジャンルでも、トップダンサーであっても、ダンスだけで食べて行くには難しい。そんな世界があることを知ってほしい」というのが、自らメガホンを取ることになった思いだという。『傷だらけの天使』でショーケン(萩原健一)を「アニキィ〜」と慕うチンピラ役の20代のころ、ブロードウェイで見たショーの感動と涙を、ずっと持ち続けたパワーに脱帽。やっとできましたね、右京さん、いや、水谷監督。
 思わず「右京さん」と言いたくなるほど、登場人物には『相棒』のメンバーがチラホラ。もちろん彼らおじさまたちは、タップはやらない。劇中、オーディションを受けに来る若者たちの芝居が、あまりにも「・・・」で、いったいこれはどういうことかと呆れながら見ていたのだけど、ラスト24分の圧巻のタップショーに合点がいった。おそらくこれは、タップが出来る人または本物のタップダンサーを起用し、セリフを言わせ、演技をつけたのではないかしらん、と。ハリウッド映画なら、役者が血の出るようなレッスンをしてドラムやピアノを習得するのが多いのだけど、本作ではそうもいかなかったらしい。やはり後日、水谷監督がインタビューで「役者を使うか、本物のダンサーを使うか迷った」と答え、結果的にダンサーを使ったのだという。確かにクライマックスの24分間はもう、「人間の足ってこんなに速く動くもの!?」という驚きでいっぱいだった。人のカラダは楽器になるのだ、と。6月17日より上映中。

監督:水谷豊
脚本:両沢和幸
タップ監修振付:HIDEBOH
出演:水谷豊、六平直政、岸部一徳、北野きい、前田美波里、清水夏生、ほか

 かつて天才タップダンサーといわれていた渡真二郎(水谷)は、ショーで負った大けがが元で引退。30年後の今も、振り付け師としてショー・ビジネスの世界に身を置くが、酒浸りの自堕落な日々を送っている。そんな彼の元を劇場「THE TOPS」のオーナーで盟友の毛利(岸辺)が訪れ、閉館の最後を飾るショーの演出をしてほしいという。気乗りしないまま引き受けた渡は、オーディションで出会った青年MAKOTO(清水夏生)のタップの音に引かれるのだった。厳しいオーディションを勝ち抜いた若手ダンサーたちは、恋人も家族も人生もなげうって、ひらすらタップを踏む。彼らとの舞台に意欲を燃やす渡。やがて「THE LAST SHOW」の幕が上がる。


by kikimimi_asabuya | 2017-06-18 09:06 | Movie 映画 | Comments(0)

札幌在住ライターの映画と本と綴りごと


by kikimimi_asabuya