落語「柳家小三治」独演会
2017年 04月 28日
TV北海道主催の落語会「柳家小三治 独演会」に26日、
80歳代の母を連れて行ってきた。
19時開演で、座席は前から2番目の真ん中。
よ〜く見えた小三治さんは、ずいぶん年を取ったようだ。
というのも昔、小三治さんはFM北海道で番組を持っていて、
当時この局で仕事をしていた私もよくレコード室などで見かけた。
あの頃の小三治さんはバイクに乗っていて、
革のライディングスーツを着て来た記憶がある。
この日、舞台袖からゆっくり歩いて高座に上がる小三治さんを見て、
あの頃と比べて「おじいちゃんになったなぁ」と思ったのだけど、
話し始めたらもう、
その声の良さと間(ま)の素晴らしさにすっかり魅了されてしまった。
「小三治の落語は、まくら(いわゆる“前振り”)が長い」らしい。
小三治師匠の本は何冊か持っているが、高座は見たことがなかった私。
大好きな立川談春さんも“まくら”は割と長いので、
そんな感じだろうと想像していたが、いやいやなんと、
前座さんの後、中入り(休憩)前の1時間近くず〜っと、その時間だった。
演目の「美空ひばりと船村徹」とあるのがその“まくら”。
つまり、落語じゃないもので前半を終わった、ということ。
思いつくままに話しているような、回顧録のような内容で、
昨年の札幌での落語会で熊本地震の寄付金を集め、
その後京都でも同様に集めたお金を熊本に持って行ったという
「お礼」が始まりとなり、
熊本に行く機内で会ったある女性の話となり、
手元の湯飲み茶碗を時々手に取り、
まさに「お茶を飲みながら」思い出すままに話していく。
それがまた、ちっとも退屈じゃないのが、さすがの話芸。
普通の人(おじいちゃん)なら、
こんなグダグダな「世迷い言」(本人談)のような話を
1時間近くも聞いてはいられないだろう。
たまに、言うことを忘れたような、
あるいは、口走ったことを後悔するような、
ちょっとバツが悪そうにはにかむ表情がまた、かわいい。
さんざん話した後、ふと時間を思い出したように
舞台袖にいた女性マネージャーに「今、何時?」と聞く。
「20時10分です」。
お客にも聞こえるその場で、残り時間の時間調整が始まる。
「お客さまの休憩が15分、それを取ると●●分…」と言うマネージャー。
なんと、お客の休憩時間も削られる(笑)。
それでもまだ話し続けた小三治師匠が
「あとで落語やります」と言って高座を下りたのは、20時半くらい。
中入り前の場内アナウンスがまた、笑えた。
「(中入りは)15分と言っておりましたが、
風向きが変わりまして、5分でお願いします」的な内容。
「風向き」って…、とお客にもウケていた。
演(や)る側、観る側、どちらにも遊び心があって、楽しい。
母も大満足で、帰路いつまでも「いや〜、面白かった」と言っていた。
いろいろ調べてみると、
小三治の「まくら」だけを集めた本も数冊出版されているらしい。
もはや講談?と思うほど本当に長かった小三治師匠の「まくら」だが、
その内容と語りは、さすが「人間国宝」!
次回もまた、母と一緒に行けるといいな。
by kikimimi_asabuya
| 2017-04-28 19:35
| Rakugo 落語
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